77: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 21:37:03.17 ID:YDitP8hM0
本当に俺も分からない。思考を停止し近くの太陽を見る。
俺は丹生谷と言って、強く手を握った。
俺はなぜ強く握るのか。なぜ胸がドキドキ痛むのか。
懐かしいのに、全然分からない。
あの夕日、そろそろ落ちるころだろうか。
太陽の暑さと丹生谷の体温と混じっていて、どっちのせいで暑いのか分からない。
横を見ると丹生谷の顔が金色に輝いていて、鼻筋に黒い影を落とし、その大人の女性っぷりに、胸の鼓動が早くなる。
俺達はお互いに一緒。ずっと一緒。
幸せすぎて、今日に起きた悩みも、すべて消えていく。
六花。いまごろ、どうしているんだろうな。
勇太「六花が呼んでる......。帰らなきゃ......」
丹生谷「えっ......」
勇太「今日樟葉いないから、六花が料理することになっているんだ」
丹生谷「料理できないの?」
勇太「あいついつもドラゴンや魔力に夢中だからな。勉強も家事もしないでさ」
丹生谷「一人で大丈夫なの?」
勇太「無理だろうな。誰かがいないとあいつは成長しない。俺がいないとダメなんだ」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「.......」
勇太「......」
丹生谷「ねえ」
勇太「うん?」
丹生谷「小鳥遊さんの中二病やめさせなさいよ」
勇太「えっ......」
丹生谷「......」
勇太「お前何言っているんだよ......」
丹生谷「中二病、中二病とか言って、できない言い訳を盾に富樫君を守ってもらってるんじゃないの?」
勇太「いや、あいつも少しずつ成長しているんだぞ!蛹から蝶が羽化するように少しずつ時間がたてば、
あいつも中二病であった自分を受け入れるかもしれないじゃないか!」
丹生谷「それがあだになるのよ」
勇太「えっ......」
丹生谷「あんたが中二病にかかった小鳥遊さんを愛そうが、卒業後でも愛そうが、それは構わない。あんたならできるでしょ。
でも、自分を磨くための時間はもう帰ってこないわよ!
肝心の大学入試試験も中二病に夢中になっているからと甘く判定する気?
高校卒業して専業主婦にしたところで今夜はブルームーンだからとほったらかす彼女の背中を見つめるの?」
勇太「ゆっくりやれば......できないことはないだろ!例え中二病でも!少しづつ!」
丹生谷「だから時間がなければできないつってんの!聞いてよ!
開花時間を遅くしたら小鳥遊さんどころかあんたの人生も終了するのよ!共倒れじゃない!」
勇太「だからって無理矢理やめさせることないだろ!......あいつは!あいつの中二病は人生そのもので!
自分以外解くこのできない呪いを必死に解消してるんだぞ!六花の悪口を言うな!」
丹生谷「死ぬわよあんた!」
勇太「死ぬか!絶対に間に合わせてやる!」
丹生谷「東大に行く力もないくせに威張るな!」
勇太「東大だけが全てじゃないだろ!」
丹生谷「時間はそこまで待ってくれないわよ!
私は今日明日の話じゃなくて1年3年後にかくまってやっと覚醒したそのタイムロスのこと言っているのよ!
来年受験なのよ!就職どうするの!?」
勇太「それは......」
丹生谷「なに!?小鳥遊さん世話するあまり、
将来大手企業の新入社員を大学経歴カットで受けれなくてハローワークに行くつもり!?あんた生きてて楽しい!?」
勇太「まだ決まったわけじゃないだろ!」
丹生谷「さっさとやめさせなさい!!」
勇太「......そういう丹生谷だってできてるのかよ」
丹生谷「は?」
勇太「自分だけできると思ってさ。人のことずかずか入るなよ!」
丹生谷「私は心配して言ってるのよ!心配してなきゃ言ってない!」
勇太「じゃなんでお前チア部やめた?
辞めなきゃ全国大会で有名人に引っ張りだこだったお前がなぜ夢を捨てたんだ!?」
丹生谷「やめてよ......」
勇太「演劇部に入った部外者のお前が、合わないとかすっぽかしてここに来る理由は一体何だよ!人間関係だろ」
丹生谷「ちが......違うわよ!何か私の目指してるものとは違ったからよ!」
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