丹生谷「勇太をなんとしてでも独占したい!2」
1- 20
72: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 21:24:25.47 ID:YDitP8hM0
第5話「ガラスの靴」

4時50分。太陽は西日をつくる。
永遠に感じるかのような光を灯す太陽も、天国間近の晴天だった青空を今、
オレンジ色とは程遠い真っ白に染めている。
今歩いている道路もビルも家もそして大きな川も白く光り、その顔を素直に直視することが困難であった。
待ち合わせ場所の石山駅から離れた俺達は分かれ道とは全然違う方向を進んだ。
なんでもない、どこにでもある殺風景な巨大な川沿いの道を二人で歩く。
自動車の走る音がけたたましいなかで、無言で。
初期の弱い、夕日と呼べない太陽の光に丹生谷の顔も少し白くなっている。
多数の赤とんぼが8月のくせに群れを成して飛んでいる。
あれだけうるさかったセミの鳴き声も一切聞こえず死骸がころころ転がっている。
暑さを感じるのに、ちょっと寂しい夏。

勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
なんだろう。丹生谷ともうすぐお別れだというのに。もっと喋って楽しむ。はずだったのに。
手を繋ぐ気にもなれない。だけど俺と一緒にいたくないというのも完全に間違いだと思う。なんなんだ。
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「なあ」
丹生谷「.......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「なんでもない......」
丹生谷「......」
重い。雰囲気が重い。大切に思う人が隣にいるのに、むしろ近づくほど離れていくような虚しい気持ちが身に纏う。
勇太「(なにかしなきゃ......)」
丹生谷「......」
勇太「(でも丹生谷を見るとなんだか愛おしく思える。そう思った瞬間胸がズキズキ痛い)」
丹生谷「......」
勇太「(手、繋ぎたい......。あのころを、もういちど)」
丹生谷「......」
勇太「(彼氏......なんだよな///)」
丹生谷「......」
勇太「(手、汗ばんでないか?また丹生谷を怒らせないか?......緊張する......)」フキフキ
丹生谷「......」
勇太「(誰も見ていないよな......。触りたい....../// 触りたい....../// ごめん神様!)」ギュ
丹生谷「きゃっ///」パシッ!!!
勇太「いたっ!あ、ごめん!」
丹生谷「いえ。ごめんなさい」
勇太「あ///」
丹生谷「あ///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......///」
勇太「......」
丹生谷「......///」小指ギュ
勇太「えっ///」
丹生谷「悪いですか?///」
勇太「いえ///」手ギュ
丹生谷「うふふ///」
勇太「あはは///」
丹生谷「......///」
勇太「......///」
丹生谷「......」
勇太「...... (話したいのに、昔なら話せたのに)」
丹生谷「あの///」
勇太「はい!」
丹生谷「手、私の、濡れてませんか?」
勇太「いえ///」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
123Res/338.66 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice