丹生谷「勇太をなんとしてでも独占したい!2」
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114: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 23:25:52.11 ID:YDitP8hM0
......。

かなり遠くにいる丹生谷が足を止め俺の方にじっと見続けている。
だからさよならを言った。
だけど、なにか。じっと俺を見続けているようで。

6時00分の時刻を確認する。
ぽーん、ぽーん、ぽーん、
という時計台の機械音声が3回なる。


目を離した隙に、丹生谷は極小から俺に少しずつ近づいて、走って駆け寄って来た。

乙女のように走り、段々俺のいる場所まで近づく。

時計台の音が2回鳴っていく。

丹生谷の髪が揺れているのが分かって、
彼女の足音が空に響いて、
少し荒い息をした音が聞こえて、
甘い匂いが漂ってきて、
とうとう顔がくっきり見えるところまで来て、
俺の体の近くまで来て、
手を握れる範囲まで来ると、俺に向かって飛んできて、









......そして俺のほっぺに、ほのかな甘い感触がー伝わった。





キスだ。












丹生谷「友キス......」






丹生谷「」ダッ

潤った瞳で、その言葉を伝えると一瞬で、まるで逃げるように公園から、俺から遠ざかった。
丹生谷の周りから弾けて飛んでいく涙を、夕日のかすかな光できらきらと映していた。


丹生谷......



......本当に......丹生谷......俺のことが......




......好きだったんだ......




俺はその意味に立ち尽くすしかなかった。
言葉が出なかった。
ゴマ粒みたいになる彼女をただ見つめて、そして消えていく......。
俺の後ろで機械時計の最後のぽーんという音が、虚しく公園中に響いた。



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