11:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/26(日) 00:49:24.78 ID:BsXQ9LjA0
帰りの車で、私は膝の上に置いた赤い浴衣に目を落とした。
「なぁ、お爺ちゃんってどうやってお婆ちゃんと結婚したん?」
「恋愛結婚」
「それは知っとる」
「お婆ちゃんが音楽やってたお爺ちゃんに一目ぼれ。お爺ちゃんは服屋とサックス奏者やっててなぁ」
「ふーん」
「サックスは結局すぐやめたけど、服飾に関してはずっと続けとった……。せやからあの家にはまだ服を仕立て直す道具があるんよ」
私は立派な和箪笥を思い出した。
「普段あんなんやけど服選ぶセンスは良くて、お婆ちゃんの着とった服はだいたいお爺ちゃんチョイスや」
「コレも?」
母は前を向いたまま頷く。
「パッと見、歪んでるみたいやけど、お婆ちゃんは幸せやったと思うで。いつもお爺ちゃんの隣におったからな」
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