倉石「石澤! SからE! そしてXだ!」
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49:名無しNIPPER[saga]
2018/08/28(火) 12:05:59.32 ID:KCt0T8Luo
  ・  ・  ・

「……」


 決勝戦は辞退させる。
 居なくなった有千夏に代わり、綾乃のコーチをしている人に、そう告げてきた。
 あと一勝すれば、なんて色々と言われたけど、それでも強引に。
 競技者として、バドミントン選手として、その先の結果はとても価値があるものなのかも知れない。


「……」


 有千夏と綾乃の間には、僕が割って入る隙間も無い、
バドミントンでの、深い繋がりが存在している。
 入っていけない愛情の形が、この母娘の間にあるんだ。
 それを寂しいと思ったことは、まあ、当然あるよ。


「……」


 だけどさ、そんなの、当たり前の事だと思うんだ。
 男親が、母と娘の繋がりに入れない所があるなんて、どの家庭だって同じじゃないかな。


 有千夏と綾乃の関係は、‘普通の’ものじゃない。


 でも、それで良いと思うんだ。


 当たり前の事が、当たり前に出来なくたって良い。
 それを受け入れて、それから、どうするか一緒に考えていけば良い。
 どんな才能が有るとか無いとか、そんなものは、一切関係無い。


 だって、家族なんだから。


「コンビニ、寄って帰ろうか」


 気の抜けた表情で隣を歩く綾乃に言う。
 ただ、頷きだけが返ってきた。


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