107:名無しNIPPER[saga sage]
2018/08/19(日) 12:47:43.22 ID:L7rMXKsm0
美咲(冷たい言葉も全く意に介さず、こころは言葉を吐き出し続ける)
美咲(今度のライブのこと、新曲のこと、新しい演出のこと、やってみたいこと)
美咲(あたしがそっぽを向いていようとお構いなしだ。ただ自分が楽しいと感じることを喋っているのだろう)
美咲(口を噤んでその言葉を右から左に聞き流しながら、ぼんやりと思う)
美咲(こころはいつだってヒーローであり、ヒロインだ)
美咲(天衣無縫で、唯我独尊で、世界に主役として選ばれて祝福されたような人間だ)
美咲(対するあたしはどうだろう)
美咲(考えるまでもない。ありふれた有象無象の内の1人だ)
美咲(こころは『世界中みんな、誰だってヒーロー』だとは言っていたけど、本当の本当にヒーローになれるのは一部の限られた人間だけ)
美咲(もしも明日世界の危機がやってきたとしたら、あたしはただ助かることを願って震えながら祈ることしかできない一般人だ)
美咲(そう思ってしまうからこそ、こころとの違いをまざまざと感じてしまう)
美咲「うるさい」
美咲(それらが寝不足のイライラと相まって、あたしの噤んだ口はとうとう開いてしまった)
こころ「うん? どうしたの?」
美咲「こころ、ちょっと黙ってて」
こころ「どうして?」
美咲「言ったでしょ、うるさいって」
こころ「なんでうるさいと思うのかしら? こーんなに楽しい話なのに」
美咲「楽しくなんかない」
こころ「どうして?」
美咲「……そういう気分じゃないの」
こころ「そうなの? じゃあどんな気分かしら?」
美咲「…………」
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