96:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 01:16:23.51 ID:w6V3e5/y0
「ごめんなさいね、手伝ってもらって」
たくさんの書類を抱えたちひろさんに、私は首を振ろうとした。でも、同じように胸に抱えた書類が崩れそうになって、諦めた。
「いえ、そんなことないです」
先ほどまで、ちひろさんは一人でこれを抱えていたのだ。でも私とぶつかって、書類が廊下に散乱してしまった。そのお詫びとして
、私もちひろさんのお手伝いをすることにした。そもそも、こんな量を一人で持っていこうとしたのは、無茶だと思う。
いけると思ったんですけど。残念そうに呟いたちひろさんに、私は微笑んだ。
長い廊下を進んでいって、ふと第三応接室の前を通り過ぎた。
扉は小さく開いていて、その隙間から中を除くことが出来て。
(あっ)
と、私は思った。
壁に貼られた手書きの注意書き。
『喫煙禁止』
「ほたるちゃん?」
足を止めていた私の元に、ちひろさんが戻ってくる。
「あのポスター、まだ貼ってあるんですね」
「あら、本当ね」
ちひろさんは室内に入ると、書類を机に置いてポスターの前に移動した。
「もういらないですよね、これも」
そう言って壁のポスターを、テープが残らないように丁寧に剥がした。
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