93:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 01:13:33.29 ID:w6V3e5/y0
言葉にされた瞬間、頭が真っ白になった。でも同時に、どこかで理解していた。
(ああ、この時が来たんだ……)
「……他の子のプロデュースをするんですか」
「いいや。俺は会社を辞める」
「やめた後は」
「引き継ぎはちゃんとやってるさ」
上がった名前は、関ちゃんプロデューサーだった。
「あいつと相談してプロデュース方法も決めてある」
そう言って、企画書の入ったファイルを私の方へ差し出してくる。
私はそれを受け取ったが、ろくに目もやらなかった。
「……プロデューサーさんはどうするんですか」
「親戚がペンションをやってて、しばらくはそこでお世話になる。その後は……まあどこかで仕事も見つかるだろう」
「そうですか……」
「なにか言いたいことはあるか」
プロデューサーさんは、なにかを言ってほしいかのようだった。
そしてそれは、感謝の気持ちや引き留めの言葉でないように、私には思えた。
だから首を振った。ただ、ありのままを受け止めて。
「そうか」プロデューサーさんは、小さく頷いた。
私は立ち上がって、頭を下げた。
「プロデューサーさん、今までお世話になりました」
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