9:名無しNIPPER
2018/08/11(土) 22:57:49.49 ID:S8sM1lda0
歩きながら、事務所の広さに私は少しめまいがしてきた。
今までの事務所は小さな事務所で、ビルの一室を間借しているような場所がほとんど。
(ここなら、大丈夫かもしれない)
私は安心してきた。私がここにいても、この事務所なら潰れないじゃないか。だって、こんなに大きな事務所なんだから。有名なアイドルがたくさん所属してて、大きなコンサートを何度も何度も開いているんだから。
(でも、本当に?)
安心は、すぐに不安に裏返った。どんな大きな会社だって、倒産しないことはない。
それに、私が起こす不幸はそれだけじゃないんだ。
現に、すでに一つ起こしている。
(大丈夫)
胸の内で、自分に言い聞かせるように私は唱えた。
そんな時にスタッフさんだろうか、こちらに駆け寄ってきた若い男の人が、プロデューサーさんに耳打ちをした。
「嘘でしょ?」
そう言葉を漏らした彼女は、ちらりと私に目を向けた。ドキリとした。その顔は何度も現場で見たことのあるもの。
トラブルが起きた時の顔。
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