8:名無しNIPPER
2018/08/11(土) 22:56:51.86 ID:S8sM1lda0
私の不幸は私だけに起きるのではない。
周りをも不幸にする。それを考えるだけで、胸がキュッと痛くなった。
「気にし過ぎだって。ほら、とりあえず行こう」
私達は事務所の奥へ入っていく。彼女は歩きながら事情を説明してくれた。
「入院したって言っても、検査入院でね。さっき電話したけど、ピンピンしてたよ。ただ、これ以上仕事を増やす訳にもいかなくてね。だからほたるちゃんは――」
「この事務所には、やっぱり入れないんですか」
口にした不安を、彼女は軽く受け流す。
「違う違う。別の奴が担当するの」
「……じゃあ、貴方が私のプロデューサーさんですか?」
「そうしたいのは山々だけどね、アタシも新人の子を担当してて、手一杯なんだよ」
先を歩いていた彼女は振り返って嬉しげに微笑んだ。
「カワイイ子達なんだ。ほたるちゃんに負けないくらい。こんど会わせてあげる」
私は少しがっかりした。もし、彼女が私のプロデューサーになってくれるなら、それはそれで、素敵なことだと一瞬でも考えていたから。
「えっと、じゃあ、一体誰が……」
「そいつが待ってる部屋に、今から案内してあげるから」
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