88:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 01:08:48.11 ID:w6V3e5/y0
それから、気を緩めすぎたと思ったのか、プロデューサーさんは体を離した。
「そうだ。まだ終わりじゃない。お客さんたちをお出迎えしなきゃな」
その通りだ。最後に出口でお客さんの一人一人にお礼の握手をすることになっていた。
「しまった、髪」
あっとプロデューサーさんが我に返った。
私も鏡を見ると、プロデューサーさんが撫でたせいで髪が乱れてしまっていた。
「えっと、櫛は」
「任せろ。俺がやるよ」
「えっ?」
プロデューサーさんは私を鏡の前に座らせると櫛を手に取り、ゆっくりと梳きはじめる。
それはとても優しくて。
「お上手ですね、プロデューサーさん」
「上手だなんて。慣れてるからさ……」
自分の口にした質問の意味に気付いて、私はあっとなった。
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