84:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 01:02:47.61 ID:w6V3e5/y0
「そうだ。渡しそびれるところだった」
裕美ちゃんは鞄から小さな封筒を取り出した。
「これって……?」
「開けてみて」
開くと、中から出てきたのはペンダントだった。
扇状の薄いプラスチック、青から白へのグラデーションが入り、細かい気泡がアクセントになっている。
それはまるで、小さな海だった。
「新しいペンダント。ほら、前にほたるちゃん、海岸で大きな鱗を拾ったって言ったでしょ。それで、鱗みたいな形にして、青色を海みたいにしたの。新しいお守り。成功しますようにって」
「凄い……ありがとう裕美ちゃん」
「頑張ってね、ほたるちゃん」
私は家に帰ってからも、そのペンダントを光に掲げて見つめていた。
美しい青い海と、白い空。そして鱗の形。
気泡の一つが、プロデューサーさんの後ろ姿になった。
バスに乗る前に、海を見つめているプロデューサーさんの姿。
水面の向こうに、彼は一体なにを見ていたんだろうか。
深い海に沈むように私の瞼は重くなっていき。目を閉じる瞬間、気泡が瞬いたように思えた。
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