82:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 00:59:26.80 ID:w6V3e5/y0
今のはあくまで一例で、他にも色々あったけど……それでも、仕事を続けることが出来ていた。
そしてとうとう。
「CDデビュー……ですか?」
「ああ」
向かいのソファーに腰かけていたプロデューサーさんが、企画書を差し出してきた。
私は胸の高鳴りを感じながら、企画書に目を通していく。
聞いたことのある作曲家と作詞家の名前。レコーディングスケジュール。
そして発売記念イベント。
イベントの会場の名前に、私は覚えがあった。
「プロデューサーさん、この会場って本当なんですか?」
「ああ、もちろん」
「でも、ここって……かなり大きいハコですよね」
私なんかのCD発売記念イベントで行うには、大きすぎるほどのイベント会場だ。
「なにか不安でもあるのか」
「……こんなところ、私が埋められるんでしょうか」
「出来るさ」
プロデューサーは、言い切った。
「出来ると思ったから、その場所を俺は選んだんだ」
その言葉は、私の不安を完全に拭い去ることはできなかったけど。
それでも、プロデューサーさんに私は少しでも答えたくて、静かにうなずいた。
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