75:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 00:47:48.96 ID:w6V3e5/y0
「……アタシじゃなくて、あいつの方だよね」
「教えてください。プロデューサーさんになにがあったんですか」
関ちゃんプロデューサーの顔に、微かに皺が寄った。
お椀を手に取ると、ゆっくりとすすりながら椅子の向きを変えて思案していた。私はお茶も飲まずに、答えを待った。
「逆に聞くんだけど、どこまで知ってるの」
「昔もプロデューサーをやっていた、ということぐらいです」
「そっか」
関ちゃんプロデューサーは黙り込むと、小さく頭を掻いた。背もたれに沈み込み、深く息をつく。
決心がつかないのか、何度もお茶を傾けて、どれほど時間が経ったのだろうか。
また、息をついた。
「そうだよな。どうせいつかは知ることになるだろうし……あいつ等より、アタシから説明したほうがいいか」
関ちゃんプロデューサーは椅子を元に戻すと、私と正面から向かい合う。
そして口を開いた。
「あいつはな、家族を二回失ったんだ。奥さんと、それと娘さんを」
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