74:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 00:47:05.52 ID:w6V3e5/y0
それから数日後、私は事務所にやってきていた。
ボイスレッスンをこなした後――本当はダンスレッスンの予定だったけど、それは暫く禁止――プロデューサー室へ向かった。
私のプロデューサーさんの部屋とは、別の部屋。
ドアをノックすると、明るい声が招き入れてくれた。
部屋に入ると、デスクに座っていた関ちゃんプロデューサーが朗らかに微笑んだ。
「あら、ほたるちゃん。足の具合は大丈夫?」
「はい。そこまで酷くなかったので」
「良かった。ひろみんとちづちづも気にしてから」
「あの、少しお時間ありますか」
「ん? うん。丁度ひと段落ついたところだから。お茶淹れようと思ってたの。ほたるちゃんも飲む?」
私がうなずくと、電子ポットから急須にお茶を注いだ。それから二人分の器を取り出す。
「ティーバックとか紙コップの方が楽なんだけど、やっぱお茶は急須とお椀。こればかりは譲れないんだよね」
関ちゃんプロデューサーは端においてあった折り畳み椅子を出して私に勧めてきた。私がそこに座ると、目の前にお茶の入ったお椀と、袋のおせんべいを置いてくれる。
「それで、なんの用」
砕いたおせんべいの欠片をつまみながら、関ちゃんプロデューサーが促してくる。
「プロデューサーさんのことです」
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