67:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 00:40:53.52 ID:w6V3e5/y0
海に面していた足場が、突如として崩れたのだ。
普段なら、持ち直すことはできただろう。
でも、手に持っていた鱗を無意識に守ろうとして手が使えなくて。
「っ!!」
滑り落ちた先は海ではなかった。岩場と海の合間に、僅かな砂場があった。
そこに滑り落ちたのだ。大きく手をすりむいてしまっていた。
それでも立ち上がろうとして、足首に大きな痛みが走った。
以前に捻挫した場所だ。
お医者さんから、もしかしたら癖になるかもしれないと注意を受けていた。そこを再び捻挫してしまったのだ。
痛みに顔をゆがめる。それから、足にかかる水しぶき。
私は急に、泣きそうになってきた。寂しさや、色々な想いから。
イベントに成功した高翌揚感はもうなくて、惨めさが心を支配していた。
上手く進めてるはずなのに、なにもうまく行っていないじゃないか。
それを知らしめるために、神様は私にこんな仕打ちをしたんじゃないか。
両手をグッと握りしめ、痛みをこらえる。
何度も何度も深く呼吸をして、嫌な考えを頭から追い出す。
そうしているうちに、私は少し落ち着いてきた。
結局、鱗もどこかに落としてしまっていた。
(戻らなきゃ……)
裕美ちゃんや千鶴ちゃんが心配してるかもしれない。
プロデューサーさんは……どうだろう。
お酒を飲んでたし、私のことなんか今は頭にないかもしれない。きっと今も、会場の中で飲んでいるのだろう。
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