62:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 00:32:25.72 ID:w6V3e5/y0
彼は一人じゃなかった。別のアイドルと一緒だ。
(あの人は確か……)
「ほたるちゃんのプロデューサーと話してるのって、岡崎さん? ほら、元子役の」
同じ方向に目を向けていた千鶴ちゃんが言った。岡崎泰葉さんのことは私も知っていた。
小さい頃から子役として芸能界で活躍していた子だ。
彼女とプロデューサーさんが話してるのが不思議だった。
相手が岡崎さんだからというわけではない。プロデューサーさんがアイドルと話しているのを、私は殆ど見たことがなかった。
話すのは基本スタッフさんや他のプロデューサーさんで、アイドルとは挨拶を交わす程度だった。
なにを話しているんだろうか。気になったときには、会話が終わったようだ。頭を下げた岡崎さんは、そのまま扉を出て行った。
ライブは、大盛況で幕を閉じた。
会場の片づけもほどほどに、打ち上げの為に舞台の上にスタッフさんやアイドルのみんなが集まった。
紙コップを手に、音頭を取ってささやかな打ち上げだった。
「おっつかれー!!」
グッと抱きつかれて、私は驚いてしまった。振り返ると、関ちゃんプロデューサーだった。
「ほたるちゃんよかったよー」
「あ、ありがとうございます……」
「プロデューサー、ほたるちゃん困ってるよ?」
眉をひそめた裕美ちゃんが近づいてきた。
「もー、ひろみんったら拗ねちゃってー」
「す、拗ねてなんかないから」
「そんなこと言ってー……」
私から素早く離れた関ちゃんプロデューサーは、今度は正面から裕美ちゃんに抱き着いた。
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