6:名無しNIPPER
2018/08/11(土) 22:54:43.01 ID:S8sM1lda0
私は慌てて立とうとした。
でも慌て過ぎた。机に膝をぶつけてしまって、机はガタンと大きな音を立てて揺れて、膝の痛みに短く声を出した。
「大丈夫? 落ち着きなよね」
ジンジンとした痛みをこらえながら、その人影に改めて目を向けた。
「えっと、貴方は?」
「アタシ? アタシはプロデューサーだよ」
ほら、と、胸元にぶら下げていた社員証を見せてきた。確かにプロデューサーと書かれている。でも、あの時声を掛けてくれた人とは違っていた。
女の人だ。パンツにスーツ姿で、髪の長さは私と同じくらい。
「ほたるちゃんって、呼んでいい?」
頷くと、彼女はニッと笑った。安心していいんだよ、そう語りかけてくるような笑顔は、私をスカウトした彼とどことなく似ていた。きっとその笑顔が彼女たちがプロデューサーになれた理由なんじゃないかって私は感じた。
「えっと、あの人は。私をスカウトしてくれた……」
彼女は小さく頭を掻いた。
「いやあ、それがね。入院したんだよ、あいつ」
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