57:名無しNIPPER
2018/08/12(日) 00:18:16.22 ID:w6V3e5/y0
リハーサルも終わり、控室。
すでにお客さんは入り始めていた。狭い会場だから、控室にもそのざわつきは聞こえてきた。
裕美ちゃんの顔は、ますます強張っていくようだ。
「裕美ちゃん」
私の声に、裕美ちゃんは我に返った。傍に居た私のことを、たった今思い出したというばかりに。それほど緊張していたんだろう。
「私がちゃんと、支えてあげるから」
彼女を励ます為に言ってから、私は急に不安になった。
「め、迷惑になるかもしれないけど」
「迷惑だなんて。そんな……」
「あ」と、小さく声を漏らした。それから裕美ちゃんは自分の鞄を探り出した。
取り出したのは、綺麗なペンダント。
「これ、ほたるちゃんに。新しく作ったんだ。いつでも渡せるように持ってたの」
可愛いペンダント。裕美ちゃんが差し出してきたけど。「そうだ。私がつけてあげる」
立ち上がった裕美ちゃんは、私を鏡と向い合せ、首にかけ、後ろで止める。
胸元に輝く新しいペンダント。嬉しさに、頬が熱くなった。
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