45:名無しNIPPER
2018/08/11(土) 23:59:48.83 ID:S8sM1lda0
「お医者さんにダンスレッスンは、しばらく禁止って言われちゃった」
「その足じゃ仕方ないよ」
慰めるように裕美ちゃんが言うと、千鶴ちゃんも頷いた。
「そう、無理はいけないですよ。今日は早く帰って、うがい手洗いもしっかりしなきゃ」
「千鶴ちゃん、お母さんみたい」
クスクスと笑った裕美ちゃんに、恥ずかしそうに千鶴ちゃんが反論した。
「ホント気をつけなきゃ駄目ですよ。今はほら、風邪も流行ってるじゃないですか」
ここ最近、季節外れの風邪が世間をにぎわせていた。
ひどくなると声が出なくなるほどとのこと。事務所でも注意するように厳重に言われていた。
「予防には手洗いうがいが一番ですから」
「ダンスレッスンどころか、ボイスレッスンもできなくなっちゃうもんね」
「ほたるちゃん、そういう言い方よくないよ」
鋭い眼光を、裕美ちゃんが投げつけてくる。怒っているわけではない、本当に心配してくれているのだ。
「うん……ごめんなさい」
「ほたるちゃん、練習一生懸命やってましたもんね。最近頑張りすぎてたから、休むには丁度いいじゃない?」
「頑張りすぎてなんか……レッスン以外、やることがないだけだから」
「そういえば、ほたるちゃん。仕事はまだ……?」
私は首肯する。
「そっか」
裕美ちゃんが言って、小さな沈黙が流れた。
「やっぱりおかしいですよ……」千鶴ちゃんが口を開いた。
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