44:名無しNIPPER
2018/08/11(土) 23:57:41.65 ID:S8sM1lda0
もちろん、なんとはならなかった。
プロデューサーさんがいくら頑張っても、私の不幸ばかりは、どうしようもならなかった。
それでも私は一生懸命にレッスンに精を出して。
だってそれ以外、今の私にできることはなかったから。
「ほたるちゃん、大丈夫?」
ベンチに座っていた私は横に目を向ける。心配そうな表情の裕美ちゃんの顔。
「大したことないから」
「はい、ほたるちゃん」
差し出されたのは、甘いスポーツドリンク。自販機から戻ってきた千鶴ちゃんだった。
ペットボトルを受け取ると、私の横に千鶴ちゃんも腰かけた。
「……ありがとう、千鶴ちゃん」
「気を付けてよね。ほたるちゃん、うっかりさんなんだから」
「そうかも」
「ほんとうに、心配だったんだから」
目を細めながら、ぼそりと千鶴ちゃんは漏らした。
ダンスレッスン中に、私は転んでしまったのだ。その時に捻って、レッスンを中断して私は医務室に向かったのだ。
脚は全治二週間ほど。包帯も一応巻いてもらっただけだった。
医務室から出たところで、同じレッスンを受けていた裕美ちゃんと千鶴ちゃんと鉢合わせたのだ。
私の様子を見に来てくれたらしい。
心配する二人の着信には気づかなかった。充電がいつのまにか切れていたから。
今、私のスマホには千鶴ちゃんのモバイルバッテリーが刺さっていた。
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