白菊ほたる「恨みます、プロデューサーさん」
1- 20
4:名無しNIPPER
2018/08/11(土) 22:52:14.43 ID:S8sM1lda0


 前までいた事務所が、倒産してしまったから。


 それは初めてじゃなかった。その前も、その前の前も、私が入っていた事務所は倒産していた。

 彼女はとてもいい子で、少し言い過ぎるところがあっても、私には優しかった。

 持ち前の明るさで、この小さい会社を大きくするんだって、やる気にあふれていて。
 
 ほたるちゃんなんかの不幸に負けないと息巻いていて。

 倒産の話を聞いた時、私は彼女と一緒だった。


『あたしは結局、ほたるちゃんに負けちゃったってことか』


 開き直ったみたいに彼女は呟いた。申し訳なくて、何度も謝って。

 彼女がこの先どうするか、私は知らなかった。知るのが怖かった。

 他人を不幸に巻き込んでいるのに、私は新しい事務所に行こうとしている。

 断ろうとも考えた。これ以上、誰かに迷惑をかけることになるなら。でも、


『大丈夫、君は素晴らしいアイドルになれるよ』


 力強く声を掛けてくれた、あのプロデューサーさんを信じて。



 もう一度、私は事務所の扉をくぐろうと思った。







<<前のレス[*]次のレス[#]>>
116Res/145.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice