21:名無しNIPPER
2018/08/11(土) 23:22:40.09 ID:S8sM1lda0
そうして、私の何度目かのアイドル生活は始まった。
次に事務所に来たとき、プロデューサーはお酒の匂いもしなくて、ちゃんとスーツを着込んでいた。
前と同じ部屋、室内には煙草の匂いもなく、あるのは柔らかなコーヒーの匂い。
そして、新しく張られた『喫煙禁止』の殴り書きポスターだった。
まずはレッスンを受けて基礎をしっかり作っていく。
プロデューサーさんは大まかな予定を告げて、私の予定も聞きながら調整を加えていく。
文句ないほど、しっかりとこなしてくれて。
でも、私の不安はぬぐえなかった。
最初の出会いのせいもあるし、こういうやり取りの間もなにか落ち着かない。
よそよそしいというより、本当に事務的に仕事をこなしている、という感じだったから。
感情も見せないで淡々と進んでいく。
その後に、宣材写真を撮ることになった。
撮ってる間、プロデューサーさんはスタッフさんに任せてどこかに行っていた。別の仕事でもあったのだろうか。
知らない人のなかで、一人放り出された気分だ。そんな状態で、いいものは中々撮れず。
頭を掻いて首を捻るカメラマンさん。端でひそひそと話すスタッフさんたち。
何度も謝って、大丈夫と返されて。
「ありがとうございます」
何度目かの写真で、渋々というようにオーケーがカメラマンさんから出た。
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