16:名無しNIPPER
2018/08/11(土) 23:06:31.32 ID:S8sM1lda0
首元のネクタイは緩んでいる。きっとクリーニングに出したばかりだったのだろう、綺麗なスーツだったけど、着崩れているのに気付いていないようだった。
歳は若そうにも、とっても歳を取ってるようにも見えた。身をすくめていた私に、彼が視線を向けてきた。その眼は虚ろだった。
よく見れば、両頬が赤くはれていた。
(一体この状況は?)
ちひろさんが一歩前に出てから、私の方に体を向けた。
その立ち振る舞いは、まるでなにも問題がないかのようだった。
部屋はいたって清潔で、目の前の人もしっかりとスーツを着ていて、ビンタされた跡も当然ない、というような。
ちひろさんも驚いていたはずだけど、私を動揺させないために、そうふるまっているんだと思った。
ちひろさんが、彼のことを紹介してくれた。
「この人が、ほたるちゃんのプロデューサーさんです」
これが私とプロデューサーさんの、最初の出会いだった。
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