41: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:21:52.28 ID:OipDTOFK0
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運ばれてくる料理が一段落するまでに、彼が四度、私が三度のドリンクの追加をしたことで、お互い気持ちよく酔いが回りはじめていた。
「ここ来る前。今日会ったとき、私が周りを気にしないで街を歩くのやってみたかったー、って言ったでしょ」
「うん」
「そしたらなんかちょっと間があったよね。あれ、なんだったの?」
「あー。その、ちょっと申し訳なく思っちゃって」
「申し訳ない?」
「やっぱりさ、アイドルになって、いいことばかりじゃないよなぁ、って」
「……確かに嫌なこともなかったとは言わないけどさ、私はアイドルだったことを後悔したことなんてないからね」
私の言葉に彼は何も返さず、グラスの中のお酒をぐいっと空けた。
「凛はお酒入ると饒舌になるというか、思考が漏れ始めるよな」
彼は自分のお箸で私を指して、おどけて見せる。
その目が潤んでるのを、私は見逃さなかった。
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