杉山「大野なんて死ねばいいのに」
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9: ◆wIGwbeMIJg
2018/08/03(金) 13:17:58.51 ID:GdHGw1+H0
結局俺は無期限に部活動に参加することを禁じられ、そのまま部を去った。
大野は俺が部活に行かなくなった後を追って驚くぐらい何の躊躇もなく部活を辞めてきた。

大野はあくまでも俺と一緒にいるつもりだった。
俺は大野に何も言わなかった。
ただ申し訳なさはすごく感じていたように思う。


こうなると俺の大野への劣等感はますます大きく膨れ上がってきた。
二人で廊下を歩いているのに大野だけ騒がれることも日常茶飯事だし、皆口を開けば大野大野。
俺はといえばそんな大野と何もかも比較され続ける役を担い続けてきた。
いっそもっと背が低ければ、運動もめちゃくちゃに音痴なら、勉強も中途半端にできなければ。
大野に対する対抗意識さえなければ。
俺は素直に大野に尊敬の念を抱けていたのかもしれない。
そんなことを常に考えるようになっていた。

季節は廻り二年になった。
大野とはまた同じクラスだった。
正直、別のクラスにしてくれと初詣で願ったくらいには少し距離を取りたかったのだが。
でも、大野は杉山杉山と決まって横に並んでくる。
誰がどんなに大野を慕おうとも、たとえ俺が大野を呼ばなかったとしても。
杉山と後を追ってくる大野だけが、俺がわずかばかりの自尊心を保っていることができる唯一の理由だった。
大野にズタズタにされていた心を、大野で繋ぎとめていたのはなんだか馬鹿らしいと思う。

1年の二学期、隣の席だった女子もまた、同じクラスになった。
クラス割表が貼られたときにすぐにそいつの名前を見つけて内心ほっとしたような気分になったのをよく覚えている。



そいつは大野の隣の席になった。



大野は俺とその女子が仲いいことを知っていた。
だからだろう、他の女子に話かけられたときに比べ、大野の対応が柔らかかった。

嫌な予感がした。

だって大野に特別扱いされて淡い期待を抱かずにはいられない女がこの世に存在するとは、思えなかったから。

こいつだけは絶対に取られたくないと、そう強く思い始めたのは五月の…ちょうど大野がクラスリレーのアンカーに満場一致で選ばれたときらへん。
今思えば、あれが純粋な恋だったのか、単に大野にとられたくなかっただけなのかはわからないけど。

杉山「一緒に帰ろうぜ」

「いいよ」

生まれて初めてだった。
女に自ら好かれようと努力したのは。



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