杉山「大野なんて死ねばいいのに」
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6: ◆wIGwbeMIJg
2018/08/03(金) 12:47:39.32 ID:GdHGw1+H0
「ふふっ。杉山君も大野君にどやされるわよ?」

杉山「そうだな、じゃあ頑張れよ」

「お互いね!」

軽く手を振られたので俺も振り返した。
くるりと向こうを向いて走り去った女子の背中をほんの数秒だけ見送って俺も大野のところに駆け出していく。

大野「何立ち話なんかしてんだよ」

杉山「悪かったって。ほんの数秒だろ?」

俺がそういった後、腕を組んで足でボールを踏みつけたまま転がしていた大野が何か言いたげな顔をして、数秒遅れで口を開いた。

大野「…もしかして、彼女か?」

杉山「ばっ…んなわけねぇだろ!てかお前もそんなこと言うようになったんだな」

大野「ふーん。でも疑っても別に不自然ではないだろ?俺だってそんぐらい思うよ」

杉山「そ…そういう大野はどうなんだよ。好きなやついねーの?」

大野「んなもん居るわけねぇだろ」

杉山「だよなー」

大野が怪訝な目がふっと緩ませ、まぁいいや、いこうぜと駆け出していくあとに俺も続いていった。


大野に家くれば?と言われたのは、ある日曜日である。
日曜日は基本的に部活が午前中までなため、午後は大野と過ごすことが多かった。
いつもは俺の家で漫画読んだり公園で日が暮れるまで喋ったり、とまぁべつに大野の家に行ってたとしても何ら不思議では無かったのだけど、そういえば大野が静岡の戻ってきてからこの時まで一回も大野の家に行っていなかった。
引っ越しの準備が終わったんだろうと勝手に推測していた。

杉山「お邪魔しまーす」

大野の家はあるアパートの一室だった。
玄関に入った瞬間、何となく前に大野が住んでた家のような広さはないと思ったけどいきなりそこに言及する気にはなれなかった。

大野「今日母さんがさ、飯食ってけばっていってたから食ってけよ。」

杉山「あ、いいの?じゃあもらうわ。大野の母さん飯上手いんだよなー」

大野「部屋そこだから。」

杉山「おう」

昔の大野の部屋といえば、サッカーボールが転がっていて、漫画が置いてあって、あとは無造作にたたまれた布団が転がっているくらいだった。

でももう、サッカーボールは転がって居なかった。
代わりに書籍や雑誌、それから難しそうな紙の束が部屋のあちこちに積み重ねてあるのを見つける。

大野「ごめんな散らかってて、引っ越してきたての時はもう少し綺麗だったんだけどな」

杉山「本当か?この段ボール引っ越しの時から出しっぱなしだったんじゃねーの?」

大野「それはそう」

杉山「あ、そ…」



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