杉山「大野なんて死ねばいいのに」
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48: ◆wIGwbeMIJg
2018/08/06(月) 19:44:15.97 ID:yVF65aIb0
部屋に入った瞬間から頭に上っていた血が若干引いた。
その場に座り込むと今度は横に来い、と言われる。
どうするべきか、一瞬迷った。
縁を切るつもりでやってきたのに傍に座っていいものなのか。

でも縁を切るよりも、俺はちゃんと大野と話がしたかった。

かたいフローリングからケツを持ち上げ、ドスンと大野の隣のベッドに腰掛ける。
大野は膝の上で組んでいた指を組み替えて、それから俺のほうを見た。

大野「俺の考えてること?」

杉山「そうだよ。」

大野「そういわれてもなア」

確かに、漠然としたことを聞いている自覚はあった。
それで大野が俺に黙っていたような聞き出したいことを、聞き出せるとも思えなかった。

杉山「俺、さっき会ったよ、元カノに」

あの時どこから切り込めば正解だったのか、今考えても良く分からない。
この日で関わることをやめるには、俺達は一緒に居すぎたのかもしれない。



大野が一瞬動揺を抑えきれないように目を泳がせたのに気が付いた。
ほんの些細な仕草だった。
それに気が付いてしまう自分を憎たらしく思う。

杉山「…後ろめたいことでもあるわけ?」

大野「…全部聞いたんだろ」

杉山「ああ」

大野がぐしゃりと前髪をつぶした。

大野「…お前がちゃんとやることやってたら、俺は邪魔するつもりはなかったよ」

杉山「…やり方が汚すぎるだろ」

大野「それにあの女、ろくでもない女だった」

杉山「余計なお世話なんだよ!」

大野「俺はお前のためを思って…」

杉山「なら!」

あくまでも大野が俺のためだと言い張るのなら。

杉山「なら…俺と別れろって、あいつを脅せばいいだけだっただろ。なんであんなことまで…」

大野がバツが悪そうに口を結ぶ。
そしてその顔が、歪んだ。
笑っている、そうわかるまでに時間を要したのは、涙を我慢してるのか、漏れる声を抑えているのかわからなかったから。
いや、本当はどっちもだったかもしれない。
途端に大野が弾けたように声をあげて笑い出す。
突然のことに俺は声も出せずにいると、ひとしきり笑った大野がこっちを見た。

大野「…そこまでわかっててさ、まだわかんないの?」

大野「俺、お前の事大っ嫌いなんだよ」


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