4: ◆wIGwbeMIJg
2018/08/03(金) 12:42:58.80 ID:GdHGw1+H0
大野との再会も束の間、夏休みの明けにはすぐに中間テストが待ち受けている。
俺は運動が得意だし好きなのであったが、勉強もわりかし得意であった。
理系科目は他の奴が唸っているところもわりかしすんなりと理解できてたし。
結構点数とれたと思った科目が後日返ってきた個人成績表で学年1位の点数であることを知ることもあった。
大野も頭がいいことは知っていたが、もちろん最初から負けるつもりで勉強するような俺でもなかったし、他の誰でもない、大野には負けたくないという思いで
テスト前の部活動停止期間はこれまでにないほど、一心不乱に勉強した。
結果からいうと、俺は大野に惨敗であった。
俺がその時し得ることが出来た最大級の努力と、最高のコンディションで勝ち取った高得点の数々は、軒並み大野に抜かされていったのだ。
これでだめならと掲げた数学の97点は、大野の満点に一瞬で塗りつぶされた。
満点。これはかなり堪えた。
98でも99でもない、100。唯一の三桁。
一つも間違いがない。
つまり俺には大野の上限が、みえない。
ここまで来ると、何となく諦めという空気が俺の中に漂い始めた。
きっと俺が次のテストに向けて毎日勉強して得意の数学で満点をとったところで、大野も満点を取れば永遠に敵わないのだ。
それにあいつは俺の半分以下の努力でそれを成し遂げてみせるに違いない。
俺だって勉強だけやってるわけにはいかない。
他のどんなところでも俺はあいつに張り合っていたかったから。
そんな中だが、一教科だけ大野に俺が勝った科目がある。
国語だ。
最後の最後に返された教科で点数も特別に高かったわけじゃなかったからどうせと思っていたのだが、
大野が頬を赤らめながら見せてきた点数は俺のものよりも6点だけ低かった。
たかが6点。
でもこの6点でどれほど俺の心が舞い上がったのか、あいつは生涯知ることはなかったのだろう。
「今回の数学のテスト、まじで難しかったよなあ。平均点40点台前半だし…。」
「あの最後の問題とか解かせる気ねーだろ。ってうわ!杉山97!?半端ねー…」
点数を覗き見てきたクラスメイトにそんな声をかけられたところで俺は一ミリも嬉しくなかった。
そんなものより、隣の席の女子に数点差で負けた国語の点数のほうが数倍誇らしかった。
後日、俺は教科ではなく総合点による学年二位の座を手にしていたことを知るのだが、
そのずっと上に一位の大野がいることを知っていたのでその二位には何の価値も喜びも感じなかった。
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