川島瑞樹「ミュージック・アワー」
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43: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/08/01(水) 01:19:26.83 ID:Ai+XpKnp0
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コンサート当日。
控え室には4人のアイドルがいた。

「先輩をあごで使おうだなんてね……」

志乃が、あごを相手に向けながら言った。言葉に反して、表情はやわらかい。

「可愛い後輩のためにひと肌ぬいだろうじゃないの!」

早苗が誇らしげに胸を反らした。ゆれる。

「すげーすけっと……ふふっ」

楓が笑い、周りもつられて笑った。

「志乃さん、早苗ちゃん、楓ちゃん。今日はありがとう」

瑞樹は3人の顔を順番に見つめた。
この3人は、今日は瑞樹のサポート・バックダンサーとしてステージに上がる。

「まぁ、あたしたちも名前売りたいし」

あけすけに、早苗が言った。半分は本心。もう半分は、やさしさでできている。

「私」

瑞樹は顔を伏せて、肩をふるわせた。

「みんなに会えただけでも……」

アイドルになってよかった。そう心から、言える。

「始まる前に、ひとりで満足しないで欲しいわ」

志乃は肩をすくめた。

「行くわよ。みんな待ってるんだから。

 川島瑞樹というアイドルを……」



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