川島瑞樹「ミュージック・アワー」
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32: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/08/01(水) 01:11:48.87 ID:Ai+XpKnp0
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「川島さん、次のライブはいつにしますか?」

レッスンの様子を見ていたプロデューサーが尋ねた。
瑞樹は、ぎくりとした。
ミニライブから1ヶ月ほど経った。ダンスやボーカルも、さらに上手になった。
だが、ガラスの破片はまだ刺さったまま。

「いつがいいのかしら、ね」

ステップを止めて、瑞樹は返した。
甘えている、と思った。

「いつだっていいんですよ。来週はどうですか?」

「プロダクションの準備が……」

「川島さんのためなら間に合わせます」

やさしいような、突き放すような、どちらともつかない声色でプロデューサーが言った。

「川島さん次第です、全部」

瑞樹は助けを求めるように、トレーナーの方を見た。
トレーナーは肩をすくめた。

「川島さんは完全にブルっちゃってます!
 メンタル面の強化が必要です!」

身も蓋もない言い方に、瑞樹は苦笑した。
だがトレーナーのいうことは事実で、それがプロデューサーに伝えられたぶんだけ、心は軽くなった。

「メンタル面の強化……」

プロデューサーは左上に目線をそらして、首をひねった。

「臆病なままでもステージに上げて慣らす、はダメですか」

「ダメみたいですね!」

瑞樹が答える前にトレーナーが先んじる。
数ヶ月のレッスンで、彼女は瑞樹の心を把握していた。

「それじゃあ、古典的ですけど確実な方法で」

「古典的?」

瑞樹は疑問を投げかけた。
プロデューサーは珍しく、おずおずとした調子で提案した。

「先輩のLIVEに同伴、とか」

瑞樹は彼の心を察した。

私のプライド、か。そんなもの……。

「ちょうど柊さんと高垣さんの共同LIVEが来週あります。
 どうです?」

柊、志乃。食事会での刺々しい雰囲気を思い出し、瑞樹はまた苦笑した。

「行くわ。私、志乃さんとだ大、大、仲良しだから」



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