74:名無しNIPPER[sage]
2018/12/29(土) 14:04:06.87 ID:BWF1i+bVO
この男と「何となく」は切っても切れない縁で大学を決めた理由も「何となく」、今の会社を志望した理由も「何となく」である。
このアパートも会社から特別近い訳ではなかったが「何となく」決めてしまったのだ。『アザレア』という華やか名前とは程遠いこのアパートに惹かれるものがあるとは思えないが、それでも「何となく」ここに住み続けている。
「なんだ?隣の部屋から物音がするのか?」
夕食をしていた男の耳に雑音が入ってくる。隣の部屋は空き部屋だったはずだが確かに物音がする。音を立てないように玄関を開けて隣の部屋を見てみると扉の隙間から光が漏れていた。
「引っ越してきたのか……」
物音の正体が不審者でなさそうだと安堵し静かに扉を閉める。
引っ越しの挨拶が無いのが気になるが、昼間なら仕事で居ないし今はもう夜だ。夜の挨拶は迷惑だと思って自重しているのだろう。
挨拶をする気が無い迷惑を振り撒きそうな隣人が越してきた訳ではないと自分に言い聞かせつつ、男は眠りについた。
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