262: ◆B54oURI0sg[sage saga]
2019/04/04(木) 05:12:24.69 ID:NvpBgk+DO
聞く者の心までも引き裂いてしまうような叫び。私はそんな声を初めて聞いた
絶望の声、悲しみの声、怒りの声、現実を受け入れられない子供が泣き叫ぶような声、もしくはそれら全て
「一体何が…。…ぁ…え…?」
『これは…あいつ…またあいつか…!』
その場面がモニターに映し出される
泣き叫ぶ初期艦さんの姿。そしてその腕の中には頭に穴が開き、そこから脳らしきものが流れ落ちている小さな深海棲艦。生きているようにはとても見えなかった
その側には手に銃を握り締めて目、鼻、口、耳から血を流している女性が倒れていた
その顔、目には見覚えがあった。以前初期艦さんを撃ったあの殺し屋だ。限界まで目を見開きこちらも既に絶命しているのが解った
「こんな…事って…どうして…?」
『復讐…だろうね。あの金塊を新棲姫は殺し屋に渡していたんだ。汚染されているとは知らずに』
「どうして深海棲艦が殺し屋にそんな物を渡すんですか!」
つい声を荒げてしまう。理解出来ない事に直面すると人は怒りで誤魔化そうとする
『それはもう終わった事だよ。今更聞いた所で何の意味も無い』
そんなやり取りの最中にも初期艦さんは絶叫し続けている。喉が枯れようとも、血が出ようとも止めるつもりが無いかのように、止められないかのように
止めてしまってはその現実を直視しなければならなくなる、だから叫び続けなければいけないと、そう叫んでいるように私には見えたのだ
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