31: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/07/23(月) 07:57:02.47 ID:+QmI8LWq0
春の陽光が、少し鬱陶しくなる頃。
まゆは、バラエティ番組に出演した。
他の事務所のアイドルが出演するはずだったが突然体調を崩し、まゆに代役の依頼が回ってきた。
まゆはあまりトークが得意ではなかった。
脳の機能の8割ほどがプロデューサーのことで占められていて、オチがつくような洒落のきいた話はできない。
せいぜい、周りの話ににこやかに頷き、質問に簡潔に答えるくらいだ。
共演者は、もうひとりのアイドルに積極的に話を振っていた。
堀裕子。自称、超能力アイドル。
その真偽のほどは不明だが、共演者にとって、この場で彼女以外ほどとっつきやすい相手はいなかった。
超能力ってほんとなの。
なにかやってみせて。
すごいすごい。
やっていることのほとんどはスプーン曲げやカード当てなど、簡単な手品のようにも見える。
それでも現場は盛り上がった。
裕子の表情、仕草、言葉がそうさせた。
素直で快活。失敗しても愛嬌がつく。
裕子は、あきらかにまゆより目立っていた。
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