26: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/07/23(月) 07:54:13.17 ID:+QmI8LWq0
まゆはニット帽ごしに、自分の頭を撫でつけた。
ここまで、プロデューサーの中身が明確にわかるものを、何1つ見つけられていない。
この家を訪れてからまだ1時間も経っていない。
だが不測の事態を考慮すれば、あとはもう一部屋が限界。
まゆは思案した。
一階の洗面室、浴室。二階の状況から、特に重要なものはないだろう。
一階の物置。寝室の様子を鑑みて、プレゼントで溢れかえっている可能性が濃厚。
ガレージ。除外。
あとは、トイレ……。
まゆはふぅと息をはいて、衣装部屋を出て、2階のトイレを目指す。
なんということはない。手軽に調べられるのが、もうそこしかないのだ。
決して他意はない。
プロデューサーさんのトイレ……。
まゆは胸を弾ませながら、扉を開けた。
「わぁ」
思わず甘ったるい声が出た。
トイレの壁一面に、顔写真が貼ってある。
写真の余白には、『笑顔』『不満』『悲しみ』『怒り』と書いてある。
すべて、プロデューサー自身の顔。
何百枚の、プロデューサーの顔。
まゆはうっとりと、その一枚一枚に、愛おしげにふれた。
一枚ぐらい、と思ってしまう。だが耐える。
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