白菊ほたる「あの日の写真」
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1: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2018/07/21(土) 02:00:46.68 ID:iF9TJVEt0

 鏡に映るのはいつだって暗い色の服、竦んだ肩、俯きがちな青白い顔におどおどした目の私自身。

 私はそんな陰気な自分の姿を見るのが嫌だったんです。

 だって、暗く縮こまった自分の姿を見ていると、ああ、やっぱりみんなの言うことは本当なんだ、って思ってしまうから。

 白菊ほたるは不幸を呼ぶ、縁起の悪い子。

 そういわれるにふさわしい姿をしているって納得してしまうからです。

 鏡を見るのがいやで、人に顔を見られるのがいやで、私はいつも俯いていました。

 私の顔を見たい人なんてきっといないから、それでいいんだって思っていました。

 私は自分の外見に、すこしも自信を持っていなかったのです。

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2: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2018/07/21(土) 02:01:52.94 ID:iF9TJVEt0
 たぶん、きっかけがなかったら、私はきっとずっと俯いたままだったでしょう。

 ――小学校四年の、秋のころだったと思います。

 いつものように俯いて家に帰ると、玄関に見慣れない靴がありました。
以下略 AAS



3: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2018/07/21(土) 02:02:24.79 ID:iF9TJVEt0
 おばさんはにこにこ笑って喋り出しました。

 自分が写真家をしていること。

 今度、賞に出す写真のモデルを探していたこと。
以下略 AAS



4: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2018/07/21(土) 02:02:53.42 ID:iF9TJVEt0
 ――冗談だと思いました。

 私を『かわいい』って言ってくれるのは、肉親だけでしたから。

 そういう人たちが言う『かわいい』は贔屓目で、必ずしも見た目の事を言ってるわけではないんだってことぐらい、私だって知っています。
以下略 AAS



5: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2018/07/21(土) 02:03:38.32 ID:iF9TJVEt0
 私を『かわいい』って言ってくれるのは、肉親だけです。

 沢山の人たちが、私を陰気で嫌な感じの子だって言いました。

 いつも鏡に映る自分の顔を見て、私もそう思っていました。
以下略 AAS



6: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2018/07/21(土) 02:04:27.55 ID:iF9TJVEt0

 次の日曜に、お父さんに連れられて、岡山にあるそのおばさんの写真館に連れて行ってもらいました。

 到着したのは、夕方ごろです。

以下略 AAS



7: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2018/07/21(土) 02:05:15.93 ID:iF9TJVEt0
 甘い香りのパウダーを頬にはたいてくれながら、おばさんはおどけた話をたくさんしてくれました。

 昔話、冗談、おとぎ話。

 お話は楽しくて、おばさんはひょうきんにつぎつぎ表情を変えて。
以下略 AAS



8: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2018/07/21(土) 02:05:57.41 ID:iF9TJVEt0
 だって。

 だって、鏡の中のその子が、可愛かったから。

 髪の毛に菊の飾りをつけて、白いレースの服を着せてもらって。
以下略 AAS



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