3: ◆cgcCmk1QIM[saga]
2018/07/21(土) 02:02:24.79 ID:iF9TJVEt0
おばさんはにこにこ笑って喋り出しました。
自分が写真家をしていること。
今度、賞に出す写真のモデルを探していたこと。
私がそのイメージにぴったりだったこと――。
私は、嫌ですっていいました。
こんな陰気な私の顔を写真にとって、たくさんの人に見てもらうなんていやです、って。
私の写真がどこかに飾られている。
それを想像するだけで、嫌な気持ちになります。
きっと見た人は、いやな気持ちになるでしょう。
陰気で、まるで不運を呼びそうな子だ、って言うでしょう。
写真に、いつも私が浴びているようなまなざしを注ぐでしょう。
想像すると、まるで実際に無数の冷たい目に見られているような気がしてきて、小さく震えてしまいます。
だけどおばさんは、ぱちくりと目を瞬かせて、言ったんです。
あらどうして? そんな綺麗な、かわいい顔してるのに勿体無い、って。
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