【バンドリ】白鷺千聖「…………」大和麻弥「どうしたんですか、千聖さん」
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9:名無しNIPPER[sage]
2018/07/17(火) 23:30:34.18 ID:sOF6k7pX0

「……花音ちゃん、私ね、花音ちゃんに謝らないといけないなって思ってたことがあるんだ」

「え……?」

 そんなことを考えていると、彩ちゃんから予想外の言葉が出てきた。

 私に謝りたいこと? と首を傾げる。私の方からなら謝りたいことはそれなりにあるけど、彩ちゃんにされて嫌だったことなんて何も思い付かない。

「最初ね、花音ちゃんにね……自分の姿を重ねてたんだ」

「それってどういう……?」

 いまいちよく分からない言葉だった。私が聞き返すと、彩ちゃんは困ったように笑いながら頬を小さく掻いた。

「えっとね、花音ちゃんと私って、ちょっと似てるなって」

「似てる……かな?」

「正直、全然似てないと思う。でもね、私は昔、勝手にそう思ってたんだ」

「その、どうして?」

「あーなんていうんだろ。私ね? すっごく個性的なバンドメンバーに振り回されて……あ、パスパレはみんなすっごく良い人だし、大切な友達だし、すごい感謝してるんだよ?」

 と、彩ちゃんは焦ったように言い訳みたいな言葉を挟む。

「それでさ、そういうのも楽しいんだけどさ? やっぱりたまにね、少し大変だなって思う時があったんだ」

「…………」

「それでその、そんな時にね、花音ちゃんの姿を見て……『ああ、きっとこの子も私みたいに振り回されてるんだな』ってね……勝手に同情してた」

「そう、だったんだ」

 少し自嘲の色を含んだ言葉を、彩ちゃんはポツリと吐き出した。

 私は『同情してた』という響きだけが心に深く突き刺さって、それにただ相づちを返すことしか出来なかった。分かっていたけど、少しだけ胸が痛くなった。

「……ごめんね? 怒っちゃった?」

「……ううん。こんなことで怒らないよ、彩ちゃん」

 怒ったんじゃなくて、勝手に少し傷付いただけだから。続く言葉は何があっても、胸の中に留めなくちゃいけない。

 私は曖昧な笑みを顔に張り付けて、彩ちゃんに何ともないように言葉を返した。



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