173: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:39:00.32 ID:/cdPx5HI0
「少し口を挟みますが、戸庭さんが劇場版鑑賞後に彼女は現れたということでしたよね?」
「あぁはい、そうです」
「では、貴方が想像もしくは望んだことによって彼女がこの世界に具現化されたのだという可能性はありませんか?」
174: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:41:26.93 ID:/cdPx5HI0
「それでつまり、私が何が言いたいのかといいますと、このパターンだった場合、お二人の目的自体がちぐはぐなんじゃないかということです」
目的というのは、つまり……。
「私が、元の世界に帰ることか」
175: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:43:15.97 ID:/cdPx5HI0
「あ、あの、ひとまず、結論を急ぐのはやめておきませんか。あくまで可能性の一つというだけで、これで決まったわけじゃないですよね?」
「あぁ、その通りです。可能性の話です。ごめんなさい」
監督が言うと、脚本がアンチョビの方を向く。
176: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:45:22.23 ID:/cdPx5HI0
「はいっ。じゃあひとまず今日はこれで終わり。あとはご飯を食べながらお話しましょう」
「そうですね、そうしましょう。ちなみにアンチョビさんは何か食べたいものはありますか? イタリアンでなくて申し訳ないですが」
二人が言うと、アンチョビは、はっと気付いたように目を開いた。
177: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:47:26.49 ID:/cdPx5HI0
「それでは。今日は貴重なお話をありがとうございました。また会いましょう」
「うん、こちらこそ、ありがとう!」
店を出て、監督とアンチョビが別れの挨拶をする。
178: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:49:19.49 ID:/cdPx5HI0
2017年12月23日。土曜日。
動画の編集をしていて、あぁそういえば、と気付く。
「今日からガルパン博じゃん。どうしよ、いつ行こうかな……」
179: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:51:21.33 ID:/cdPx5HI0
2017年12月24日。日曜日。
「戸庭! メリークリスマス! 今日は空いてるよな!」
「なんですかそれは挑発ですか」
180: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:52:55.88 ID:/cdPx5HI0
というわけで、アンチョビと二人、池袋サンシャインシティへ。
カップルでわいわいと賑わうショッピングモールを抜け、会場へ辿り着くとすでに長蛇の列が出来ていた。
「おー、すごい人だな」
181: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:54:44.84 ID:/cdPx5HI0
そういえばガルパン博のチケットをプレゼントされておいて、俺の方はクリスマスプレゼントを何も用意していないのに気付き、サンシャインシティでアンチョビへ帽子を買った。
もっとコートやら何やら高いものを買おうかとも言ったのだが、いやいやそこまでしてもらうのは悪いと返されたのだ。
夕飯は池袋のイタリアン料理店で食べた。
アンチョビの働く店に行こうとも誘ったのだが、またも「今日は駄目だ!」と断られた。
182: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/18(水) 22:56:22.25 ID:/cdPx5HI0
「……あー、そういえば、戸庭。普段は適当にはぐらかしそうだし、今だから聞くんだけどな、私って、いつまでここにいて良いんだ」
「え? いつまでいても良いよ」
「お、ぉお。そ、それは……ま、まぁ私も――」
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