143: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/17(火) 23:30:16.14 ID:MeNYOwih0
初めに見えたのは白い天井だった。
次に「戸庭っ」と声を上げるアンチョビの顔が見えて、首を動かすと室内にベッドが並んでいるのがわかった。
どうやらここは病院の一室らしかった。
「いま先生を呼んでくるからなっ!」
勢いよく病室を出て行くアンチョビに、俺は「元気だなあ」と素朴な感想を抱いた。
やがてやってきた白衣を着たおっさんに問いかけられるまま答える。
その課程で俺は、どうして自分がここに寝そべっているのかを知れた。
「わかるでしょ。過労ですよ。死にたいの?」
そうやって顔をしかめる医者を、俺は心外に感じた。
「死ぬつもりはなかったんですけど……」
「冷静な判断が出来ないとそうなるよね」
呆れた様子で医者が吐き捨てる。
俺は僅かに憤りを覚えたが、脇で申し訳なさそうに佇むアンチョビを見て、感情がおさまった。
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