62:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 18:31:51.68 ID:TXxgAIfuO
伸ばしてあった髪は潔いくらいにばっさりと短くなり、黒衣であることは変わりませんでしたが、修道服ではなく、本来私たちと交わるはずのないビジネススーツを着込んでいました。
それでも変わることはない彼女の本質が、そこに立っていたのです。
「クラリス」と、彼女が初めて私の洗礼名を呼びました。たったそれだけのことで、驚きと戸惑いも抑えて、嬉しい気持ちは溢れそうなほど。ですが、続いた言葉に気を引き締めました。
「貴女は、これからどうするつもり?」
「……あの教会は、多くのひとの心のよりどころ。失うわけにはいきません。そのために、私も他のお仕事をしてお金を稼ぎます。多少の不安はありますが、神は……きっと、お救いくださるはずですから」
「そっか」彼女は苦笑いに近い笑みを浮かべて言いました。「貴女はそう言うと思ってた」
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