56:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 18:25:53.98 ID:TXxgAIfuO
青空の下、花の落ちて緑だけが美しいバラ園の中、私はCDプレイヤーの停止ボタンを押し込んで微笑みます。
「ふふ、素晴らしい合唱でしたね。きっと、神様にも届いたと思いますよ。今日はこれでおしまいにいたしましょう」
聖歌隊の子供たちは、邪気のない顔で私に別れと再会の約束を告げ、帰途に着きます。その彼らに、次の日曜日もまたこの場所でと、そう伝えなければならないのがただただ辛い。
私は、ベンチに腰掛けました。俯き加減な顔の角度はもう癖のようになってしまって、ため息は地面に向けてまっすぐ落下しました。
なんとかしなければなりません。
この夏、やっと私も二十歳になります。
間接的な支えだけでは、もう留められない。いまとなると、あのときの彼女の心情が痛いぐらいにわかるようでした。
なんだってしなければ、この愛する場所を失うかもしれない。その恐怖のなんと痛烈なことか。
私は口元を引き結び、胸元のブローチに手を添えました。
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