49:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 18:20:44.64 ID:TXxgAIfuO
その手書きの字の特徴に心臓が跳ねました。
いったいどうして。どうやって?
混乱する心中もそのままに、私は慎重にラッピングを解きました。包装紙の下には、メーカーのロゴも何も印字されていない、真っ白い箱。
おじおじとふたを開けると、緩衝材の中にうずまる朱い石が日の光を弾いてつやめきました。
「……ブローチ?」
その留め金には、メモ書きが挟まっていました。やはり、よく知っている癖の見える字が走るように。
『ごめん、誕生石間違えた……
でもせっかくだし、良かったら、付けてて』
好情が吹き出すように、思わず笑いがこぼれました。少し遅れて、涙がひとつふたつとこぼれました。引きつった、不恰好な泣き笑いになってしまい、誰に見られることもなくて、本当に良かったと思えます。
どうせメッセージを書くなら先の便箋に書いておけば良かったでしょうに、その奔放なやり方さえ愛しい。
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