37:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 18:10:24.99 ID:TXxgAIfuO
扉を開けてすぐ、神父様とセイラムが食卓に向かい合って座っていることに気付きました。
何があったんですか――? 軽い気持ちでそう訊ねようとして、ふたりの顔にやっと目を惹かれ、半ばの眠気はひと息に消えて失くなりました。
悲痛と、虚無。
ふたりの顔は、それ以外の形容が見つからないほどに、まさしくそれそのものでした。
感情を全き零に失ったようなセイラムが、私に視線を向けました。初めて見る彼女の表情を、怖いとさえ思ってしまいました。
「ごめん」言葉は短く、独り言を呟くように。「いまは出てて。部屋戻って」
そして、ひたすらに痛そうな表情の神父様が言葉を重ねます。いまにも泣き出しそうな声が、私の胸を強く強く締め付けました。
「……大声を出した。起こしてすまない。すまないついでに、頼む。ほかのみんなが来てしまわないように、人払いを」
私はもう、頷いて、言いつけられた通りにすることしかできませんでした。
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