33:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 18:08:14.10 ID:TXxgAIfuO
「それにしても、眠いなあ……ね、今日の合わせ、CD使ってくれない?」
これは、聖歌隊との練習が午後にあった日のことです。冗談めかして言う彼女に、同じような調子でこたえました。
「心苦しいのですが、ダメです」
「あ、そうだ。貴女が自分で弾くのはどう?」
「私はまだまだ、ひとに聴かせられるような腕前ではありませんから」
「ちぇー」
実際のところ彼女の働きは相当なもので、もたらす黄白は神父様にも引けを取っていなかったそうです。
状況は好転しました。それはつまり私への気遣いが教会の枷になってしまっていたということで、多少の複雑さは心中ただよっていましたが、たしかに喜ばしいことだったはずでした。
一旦の落ち着きを得られました。以前よりは慌ただしくも、無事に過ぎゆく日常に、私はただ安堵していたのです。
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