54:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:45:47.94 ID:eCrKDArS0
また凛は、このクリスマスイブのデートを境にひそかに決意したことがあった。
曰く、「卯月の笑顔はわたしが守る。誰にも傷つけさせない」と。
かくして卯月の忠実な番犬、柴犬ならぬ渋犬が誕生したのであった。……
……以降、凛は、卯月と一緒にいる時はなるべく彼女から目を離さないようにした。
悪い虫が寄り付かないよう、少しでも人の多い場所に行くときは卯月にぴったりくっつき、あからさまに周囲を警戒するようになった。
学校では学年も違うため普段一緒にいる事は叶わなかったが、二人の仲はすでに学校中の生徒に知れ渡っていたため、
あえて凛がことさらに警戒しなくとも、その存在の抑止力によって卯月の安全は守られていた。
そうして時々、二人が廊下ですれ違ったりすると凛が驚くほど優しい顔をするので、次第に凛の不良としての悪名はなりをひそめていった。
代わりに囁かれるようになったのは、かつて偏見と強面な態度に隠されていたものの今や多くの生徒の気付くところとなった、凛のその圧倒的な美貌である。
本人にとっては皮肉なことだが、その近寄りがたい雰囲気と畏怖の念も相まってカリスマ的な人気を博していった。
気が付けば凛の隠れファンは学校の一大勢力となり、卯月の隠れファンに勝るとも劣らない数となった。
やがて二人は、名実ともに最強のコンビとして名を知られるようになったのである。
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