52:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:44:05.08 ID:eCrKDArS0
「卯月」
「は、はい!」
凛はそう言って卯月の手をつかみ、強引にひっぱり出した。
卯月が倒れこむように凛の腕のなかに抱きしめられる。
そうして凛は呆然とするオタクたちを鋭く一瞥したあと、卯月を連れて足早にその場を去ったのであった。
…………。
その後、二人は店には入らずそのまま帰ることにした。
駅に着き、電車を待っている間、ようやく卯月が口を開いた。
「……あの、凛ちゃん?」
「…………」
「もしかして、怒ってる……んですか?」
「……べつに、怒ってないよ。ただ、なんだか……ううん、怒ってるのかな?」
「ごめんなさい、凛ちゃんに心配かけさせちゃって」
「違うよ、そうじゃなくて……なんて言ったらいいんだろう。でも、とにかく卯月は何も悪くないよ」
そう言って凛は溜め息をつくと、卯月の方を振り向いて疲れたように笑ってみせた。
「わたしこそごめん。ちょっと態度、悪かったよね」
卯月はそれでも不安そうに凛を見つめていたが、やがて申し訳無さそうにふっと視線を落とした。
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