27:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:27:11.97 ID:eCrKDArS0
卯月たちの不安は的中した。
商店街に訪れる客が一向に増えないまま外はどんどん雨足を早め、
雷が鳴りはじめた頃にはもう、突風と土砂降りで大荒れの天気となった。
アーケードには元々の客の他に雨風から避難してきた人らもちらほら見えたが、
とても賑わっているとは言えない人数である。
イベントステージ上ではプロによる手品が披露されている最中だが、
客席には暇を持て余したおじいちゃんおばあちゃんが休憩代わりに座っているだけである。
「ねえ、電車も止まっちゃったってさ」
「そんな……」
意気消沈するメンバーに卯月が声をかけて励ます。
「だ、大丈夫だよ! たとえお客さんが少なくても、今は私たちにできることを精一杯やろう!」
言いながら、やはり内心は悔しい思いでいっぱいなのであった。
――そろそろ出番が回ってくる。
卯月は出演準備に取り掛かる前に、すがるような気持ちで客席をこっそり覗きに行った。
(あぁ……やっぱり……)
両親の姿こそ確認したものの一般客は年寄りが数人いるだけで、見に来ると約束してくれたクラスメイトの姿はどこにもない。
そうして落胆しかけた、その時であった。
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