28:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:27:44.08 ID:eCrKDArS0
(……あっ!)
見覚えのある長い黒髪の少女が座席の隅っこに座っていた。
凛である。
ずぶ濡れになった髪や服をしきりにタオルで拭いている。
その椅子の脇にはボロボロになった傘が無残に立てかけられていた。
しかし凛は大して気にした様子もなく、ステージ上の落語に熱心に聞き入っている。
そうして時折、必死に笑いを堪えようとして奇妙に顔を歪めたりしていた。
(渋谷さん……来て、くれたんだ……)
卯月の心に、にわかに勇気がわいてきた。
控え室に戻り、喝を入れるように自らの頬をパチンと叩くと、意を決してステージ衣装に着替えた。……
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