6:名無しNIPPER[saga]
2018/07/11(水) 22:13:36.12 ID:TUAcnqRm0
「あ…ぐ…かあさ…すま…ない…」
そんな私のことを察したのかお爺ちゃんがいきなり謝ってきた。
けどその言葉は私に対してじゃなかった。
ハッキリと聞き取れないけど…お母さん…って言ってるよね…?
この人がお母さんなんて呼ぶってつまりお婆ちゃんのことを指しているのかな。
まったくどう見たら中学生の私を自分の奥さんと勘違いするんだろ。
もう私が誰なのかちっともわからないみたいだ。
「お父さん!もうこんなに汚して…ほら…」
そんなお爺ちゃんの状態にようやく気づいたお母さんが駆けつけてくれた。
すぐに雑巾でお爺ちゃんが漏らした床のおしっこを綺麗に拭いてズボンまで交換した。
それからお爺ちゃんはお母さんに連れられて自分の部屋へと戻った。
「お……かあ…さん…かあ…さん……ごめ…ごめんな…」
「いいのよお父さん。お母さんは許してくれているから安心して。」
お爺ちゃんは私を見つめながら何度も『お母さん』と言い続けていた。
そんなお爺ちゃんを抑えながらお母さんは不安気な顔で部屋へと連れ戻した。
私はというと…お爺ちゃんが何を言っているのかちっともわからなかった。
どうせボケたせいだろうとこの時はどうでもいいと思っていたけど…
これもいつものことだと思って私はさっさと学校へ行ってしまった。
うちはお母さんが専業主婦だから家のことは全部お母さんがやってくれる。
だからお爺ちゃんの介護は全部お母さんに任せっきりだ。
私も同じ、これ以上あんなお爺ちゃんと一緒に居られない。
準備を整えると学校という逃げ場へさっさと向かった。
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